第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
縁「スポットライトはどうなった?」
その縁下先輩の問い掛けに山口君は時計をチラと見てモジモジと答える。
山「ええと、多分、もうすぐ……」
尻窄みに語尾を濁した山口君の言葉の直後に坂ノ下商店の外に車が停車した気配がした。
そして店のドアを開けて入って来たのは、烏野バレー部OBの滝ノ上電気店だった。
滝「スマン、スマン。待たせたな!ここに置いとけばいいのか?」
山「あ、ハイ」
なにごとかと皆外へ出て、滝ノ上電気店の軽トラックの荷台を見て皆口々に驚きの声をあげる。
そこにあったのは一抱えもある大きなスポットライトが鎮座していたのだった。
縁「でもこんなに大きいのどこに隠しとこう……俺達で運んでも目立つし。。」
その呟きにその場にいた全員が口を噤む。
折角のサプライズがバレてしまってはもったいない。
しかしこの打開策が見つからなければこのスポットライトは諦めないといけない……
すると、蛍が思い付いた様に口を開いた。
蛍「これさ、堂々と講堂に置いとけばいいんじゃない?演劇部のモノだって事にしとけばいいデショ。
滝ノ上さんが運んでくれたら、もし先輩に見付かっても搬入って事に出来るし。
演劇部は名前を貸してもらうお礼に、舞台で使わせてあげてもいいし。」
滝「ああ。俺なら手伝うよ。乗りかかった船だからな。」
滝ノ上さんがそう答えると、部員の皆は沸いた。
田「お前、さすがそのメガネは伊達じゃねェな!!」
ストレートに田中さんに褒められ、皆から囃し立てられる蛍はどこか居心地が悪そうに顔を背けた。
その後、滝ノ上さんが持って来てくれたスポットライトの試運転をして坂ノ下商店のブレーカーを落として平謝りしたり、滝ノ上さん達の年代の壮行式のレジェンドを聞いたりと私達は大いに盛り上がったのだった。
準備万端で用意は出来た。
あとは明日の壮行式でいかに盛り上げるかに掛かっている。
私達は各々希望に胸をときめかせながら解散し、明日を待つことになった。