第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
これはおかしい。
明らかにおかしい方向に話が進んで行っている。
と、困惑しているとクラスの友達が頬を染め、興奮気味に歩み寄って来る。
友「!絶対似合うと思ってたのよ!ようこそ!チア部へ!!」
『いやいやいや、違うの!私達壮行式で使うポンポンを借りに来てて…!!』
友「私“たち”??あれ、月島君と山口君!?あ、そういうこと??なーんだ。」
蛍と山口君の姿を確認した彼女から、先輩方に説明をしてくれる。
結論としては彼女たちもポンポンを使うので借りることは叶わなかった。
でもポンポンの材料であるビニール紐を頂いて、作り方も丁寧に教えてくれたチア部は良い人ばかりだ。
そして頼んでもいないのに【絶対に似合うから!】とチア部のユニフォームを1着貸してくれたのだった。
チ「さん!絶対壮行式で着てね!!絶対に似合うから!そして気が向いたら是非チア部に!!!」
そんな熱いアプローチを受けながら校舎裏の部室棟を後にする。
ようやく勝手知ったる第二体育館まで帰ってきた私達は、ドッと押し寄せる疲労感に座り込む。
『ポンポンは自力で作るとして、スポットライトはどうしよう……』
山「あ、あとは俺に任せてよ!ツテがあるから!!」
蛍「ツテ……??」
そんな2人の会話を聞きながら、私は胸に抱いているチア部のユニフォームに視線を落として覚悟を決めるのだった。
そしてそれから3人でポンポンを作成する。
時は移り変わって、あっという間に練習も終わり私達は集合場所である坂ノ下商店に向かう。
ドアを開けると机の上にはお手製のメガホンとラジカセが置いてあり、存在感を放っている。
蛍はさっそくプスーーーっと笑いいつものからかいモードへ突入していた。
蛍「それ、夏休みの工作?」
日「なんだよ、お前等のだって似たようなもんだろ!あ、でもこっちのキレイなの作ったのは月島か??」
蛍「大体なんなのそれ、昭和?」
日「じゃ、じゃあお前らのスポットライトはどうなったんだよ!」
そんな小競り合いの中、坂ノ下商店のドアが開き、2年生がゾロゾロとやって来た。
田「おお!手作りか、熱くていいじゃねェか!!」
夕「お前らの心意気、しっかりと受け取ったぜ!」