第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
バンッ!!!
その大きな音と共に室内に目も眩むほどの明るい光が光る。
これでスクリーンに図案を焼き付けて行くらしい。
この光で黒い文字に穴が開き、図案が完成して後はインクを刷り込んでいくだけらしい。
14枚分繰り返される光の中、田中さんの言葉が妙にゆっくり体に染み込んでいく。
田「見たか!これは壮行式の成功を約束する希望の光だぜ!!!」
---熱い。あまりにも熱いが無視できずに身体と心をじわじわと高揚させる彼の言葉は本当に不思議だ。
田中さんは本当に男前だ。
ふとチラリと蛍を見上げれば、その熱さに当てられたのか珍しく居心地の悪そうな蛍の表情が見えた。
いつもは絶対関わらないような蛍まで巻き込んで、熱いうねりとなって進んで行くこのトップシークレットプロジェクトに私は密かに心弾ませたのだった。
縁「よーし、これで最後だ。刷るぞー。」
縁下先輩の掛け声に皆固唾を飲んで見守る。
そして最後のTシャツに【だ】の文字が黒々と刷られた。
それをハンガーに掛けて乾かす。
色とりどりの7色のTシャツは一文字ずつ文字を讃えて、どこか誇らしげに掛かっている。
田「7色…見ろよ、最高の壮行式へ繋がる虹の架け橋だぜ!」
縁「ああ、この虹の向こうに大地さんの笑顔があるんだな……」
いつも通り男前な田中さんの台詞に答えたのは、縁下先輩だった。
その言葉に私達は顔を見合わせる。
---あの縁下先輩をのせるなんて田中さん……やっぱり只者じゃないな……
そんな妙な尊敬の念を抱いた←
各々身体のあちこちに墨を付けた(蛍は付いてなかったけど)私達はなんだか誇らしげに解散した。
そして夕ちゃんの【一蓮托生】が今頃になって輝いて見えたのだった。
帰り道、蛍と2人で歩く。
蛍は明日の“探し物”について憂いでいたが、なんだかんだ言って投げ出さないで(本人は気付いていない内に)真面目に取り組む蛍にニヤニヤしてしまう。
蛍「なに、人の顔見てヘラヘラしてんの。」
『別にー。』
蛍「貸しだってこと忘れないでよね。」
『今日のはキスでチャラです!』
蛍「ハァ!?なら、もっと色々やっとけば良かったじゃん。」
そう言い合いながら私達は笑顔で。幸せに包まれていた。