第2章 新学期と新生活と入部
『そういえば今日バレー部の田中さんにも天使って言われたなぁー』
「はぁ?触らせたの?」
また暢気に失言をしてしまい。焦る私にどんどん不機嫌オーラは膨らんでいく。
その不機嫌オーラを減らすために必死で釈明をする。
あれ?さっきもなかったっけ?デジャヴ??
そんな私の言葉を聞いてか、蛍はまたあの意地悪な顔をした。
途端に流れるピンクなオーラにたじろぐが、状況変わらず私は壁際、腕の中。
絶対キスされる。鈍感な私の〝女の勘”が働いた。
女の勘が存在していたことに喜びを感じるも、これって女の勘?という疑問が上がる。
そんなこと考えながら百面相する私に蛍は言った。
「高校生のキス。教えてあげる。」
そして合わさる唇。
さっきとは違う勢いみたいなものを感じて怖くなり目を閉じた。
それからかぷかぷと甘噛みするように唇を食む動きに身を捩る。
空気まで吸われてしまい酸欠な私はついつい口が半開きになる。
その口の開きに対してすかさず蛍の舌が侵入してくる。
そのまま口内を侵された。
歯列をなぞられて、舌を絡めて奪われる。
更に角度を変えて何回も合わさってくる唇。
その内にどちらのか分からなくなった唾液が私の顎を伝う。
濃厚なキスをされながらうっすらと目を開けると蛍の表情が見えた。
それは想像していた意地悪な顔ではなく、苦しそうな顔。まさに夢中という顔だった。
その顔に胸がギュッと鷲掴みにされる。
このドキドキはときめき?
もうなんかよく分かんないし、酸欠な私には深く考えることなんて出来なくなっていた。
夢中でキスを受けていると腰が砕けてズルズルと壁伝いに体が下に落ちていく。
その様子に気付いた蛍は私の足の間に自分の足を滑り込ませて支えてきた。
いや。それより解放してよ。
そんな嫌味が頭をよぎるがすぐ意識は唇に持っていかれる。
いよいよ限界という様子で頭から湯気が出そうな私の様子を見てようやく蛍は唇を離してくれた。
2人の唇の間にツツーと透明の糸が繋がって妙に生々しく感じた。
そして離れた蛍の唇はお互いの唾液で艶々になっていてまた艶めかしさを感じた。
「どうだった?」
ニコニコしながら聞いてくる蛍に私は息も絶え絶えになりながら至極真っ当な質問をする。
『……一体何人の女の子とこんなことしたの??』
「え゛……」
私の女の勘がまた騒いだ。