第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
久しぶりの他人の家に少なからず私は緊張する。
というかこんな夜にこんな大人数でガヤガヤと訪問して明らかに迷惑な客人である。
ドキドキを抑え、声を掛けながら家へ入る。
『おじゃましまーす。』
田「ホラ、遠慮せず上がれよ。あ、ウルセーのがいない。アイツまた飲みに行ってんのか。」
夕「うわー、マジか!姐さんいないのか!」
縁「姐さん?」
夕「冴子姐さん見たらな……お前ら、惚れるぞ」
蛍「なんで西谷さんがドヤ顔なんですか……」
そんな話をしつつ2階に上がって田中さんの部屋に入る。
彼の部屋は良くも悪くも彼らしい部屋で。
水着姿のボンキュボンのお姉さんが今にも零れそうな胸を寄せながらこちらを見ていて…なんだか複雑だ。
咄嗟に蛍を確認するとさも興味なさげに見ていて心底ホッとした。
机の上には本が散らばり、コンポの上にはCDが積み重ねている。
THE☆男の子!といった部屋に今更ながらまた緊張してくる。
こんな部屋に男の人と二人っきりだったらさぞかしときめいて緊張するのだろう。
…さっき交わしたキスのせいで何故か生々しい想像が頭を過り、慌ててその妄想を消す。
そんな事を考えているとふと背中を押された。
途端に私はバランスを崩して目の前のベッドへ倒れ込み、ギシリとスプリングが跳ねる音がする。
正面から倒れ込んだ私が慌ててくるりと身体を翻すと顔の両横に田中さんの腕が着かれた。
そのまま田中さんは覆い被さるように右の片膝をベッド上に降ろしてくる。
---これは、押し倒されているみたい?
真剣な田中さんの視線と目が合い、緊張して身体が強張る。
田「か……」
『か、??』
田「可愛いぃぃぃ!!は、鼻血出る!!!!」
その言葉と共に私から降りる田中さんにようやくホッとする。
その後も田中さんは“これで1週間…いや1ヶ月はイケるな……”とブツブツと呟いていた。
ようやく解放された私が窓際に移動したらスルッと横に蛍が来る。
蛍は蛍で“2年生もあながち侮れないな…付いて来て正解だった…”と呟いている。
夕ちゃんと木下さんと成田さんは顔を赤くしてモジモジとしていた。
そんな混沌とした中、我関せずの縁下先輩は準備を進めていた。