第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
不覚にもドキドキした胸を押さえて、蛍に手を繋がれたまま学校に向かって歩く。
---最近、蛍が妙に色っぽい。
---身体を重ねて事によってそう見えてしまっているのかな…
蛍「なんか静かなんだけど…どうかしたの。」
なんて、分かってるくせに聞いてくる蛍も愛おしく思ってしまう私はかなり重症みたいだ。
『別に。』
蛍「…2年生は大丈夫だと思うけど、は僕のなんだから気を抜いちゃダメだからね。」
『!!!』
---この可愛い生き物はなんだろう。
蛍「190cm近い男に可愛いも何もないデショ。」
そうぶっきらぼうに言いながら視線を逸らす蛍。
その言葉にも愛しさが込み上げてくる。
『やっぱり蛍の事好きなんだなぁ…』
蛍「何?好きじゃないとでも思ってたの?
…まぁいいや。いい機会だから精一杯僕のこと掴まえておきなよ。」
そう言った蛍の耳は真っ赤になっていた。
珍しいツンデレを見せる蛍と甘い雰囲気に自分の置かれた状況をすっかり忘れていると、ふと目の前に現れた学校に現実に引き戻される。
『そういえば、こんな時間に学校なんて大丈夫かな…?守衛さんとか居そうなのに…』
蛍「その心配はなさそうだよ。ホラ、あそこ。」
蛍に促された方を見ると2年生の先輩方が文字通りコソコソといった様子で学校から出て来た。
手には大きなビニール袋と紙袋を持っている。
バレないようにこっそり蛍の手を離して、先輩たちに近付く。
『遅くなりました…っていうかその大荷物は何なんですか?』
田「詳しくは、俺の家に行ってからだ。よーし!レッツゴートゥー我が家だ!!」
有無を言わさず連行される田中さんの家までの道中で、縁下先輩が坂ノ下商店を出てからの流れを教えてくれた。
要約すると、田中さんの家で今から壮行式で使う文字入りTシャツを作るとの事←雑
そんなこんなで到着した田中さんの家。
到着すると同時にさっさと家の中に入って行った田中さんの後を追う。