第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
田「あの大地さんの事だ。壮行式も渋く決めてくれるに違いない……でも!勝負前に他の部に埋もれる訳にはいかねェ!
戦いってのは歌舞いてなんぼだろ!?」
夕「龍の言うとおりだ!勝負の世界は目立ったモン勝ちだぜ!」
その言葉に木下さんたちも頷いている。
そして田中さんの勢いと熱さはどんどん上がっていく。
熱い。
ひたすらに熱く、嫌な予感がする。
なんというかこう、良からぬ方向に面舵一杯の全速力で進んで行っている……
田「俺たちが、こう……揃いのTシャツでも着て大地さんの後ろに並ぶだろ?
それでド派手に盛り上げれば、野球部や空手部なんかのパフォーマンスには負けないはずだぜ!?」
木「確かに、他の部には負けたくないよな。」
田&夕「だろ!!」
田「よーし、決まった!俺たちで他の部が絶対考え付かないようなステージ作ろうぜ!!」
夕「最高のステージにしような!!」
木&成「おう!」
手の付けられない程熱く加速していく先輩方。
一体この勢いで何をさせられるんだろう、と身震いする私。
鵜飼コーチ不在の坂ノ下商店はいくら騒いでも店番のおばあさんは片眉も動かさずじっとしている。
それに付け込んでどんどん騒がしくなっていく。
……もう腹括るしかないのだろう。諦めよう。
何故か無我の境地、悟りの極みの様に感じた。
夕「龍!この作戦、1年抜きでやったらあいつらに怨まれるぞ!!」
田「ああ、抜かりはないぜ!あいつらに手伝ってもらうことは山ほどあるからな!」
---この期に及んで更に1年の皆まで加わるのか…
---あ、でも蛍が居るならある程度の抑止力になるのかも…
1年生の加入によって私の中に一筋の希望の光が差し込んだ。
そして先輩方のあまりの盛り上がり様に、「皆、本気なのか??」と小さく独りごちた縁下先輩の肩に私は手を置き諦めを促すのだった。