第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
「練習終わったら、坂ノ下商店に集合な。」
その一言によって突如私平凡な日常は奪われたのだった←大げさ
時は移り変わってここは坂ノ下商店。
言わずもがなウチのコーチの商店で、一定の品揃えと定評の高い学生のオアシスだ。
放課後は暢気に買い食いをする学生で賑わう、そんなお店がどこぞの指令本部かというような雰囲気に包まれている。
田「さて、お前らに集まってもらったのは、言うまでもないッ!
俺たち2年で、壮行式を盛り上げようと思う!!」
その突拍子のない発言で私は呆気にとられながら、なんとなく予想していた方向へ話が向かっていくのをとりあえず無言で眺めることにした。
そしてそんな突拍子のない宣言に食いついたのは、私の中で常識人の分類に入る縁下先輩だった。
縁「いいんじゃない?で、何やるんだよ」
田「大地さんの挨拶を俺たち全員で盛り上げたいんだが……」
夕「盛り上げる…応援だよな。応援……と言ったら応援歌か?」
田「それだ!!俺たちでバンドやろうぜ!」
夕「いいじゃねェか!じゃあ俺はドラムだ!」
田「任せた、俺はギターな!はボーカルで歌姫だ!」
『は?私歌上手くないんですけど…』
木「え、意外。お前ら楽器出来るの?」
田「できねーよ。でも気合でカバーできるだろ!」
夕「音楽はハートだからな!勝利への熱い思いがあれば問題ないぜ!」
縁「いやムリだろ!っていうか、主将の応援ってそういうことじゃないだろ!?」
田「そっか?じゃあ別の作戦で攻めるか」
怒涛のラッシュで盛り上がっているところを水を差すようだが、私には気になっていることがある。
丁度一区切りついた所で、私はそれついて聞いてみる。
『あのー田中先輩ーー。私1年なんですけど何故ここに??』
田「ハァ?熱い想いに学年なんて関係ないだろ!?でも、一言で言うならば、学園のヒロインのお前が出たら100%盛り上がるからだ!」
『ハァ!?』
最早、わけわからん。わけワカメだ←死語
彼の中では私は学園のヒロインという位置づけにされてしまっているらしい。
夕ちゃんなんてその横で頷いているし…
私は“諦めろ”と言わんばかりの縁下先輩の視線を受け、静かに着席したのだった。