第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
うむ、と考え込んでいる彼に取材の終了とお別れの言葉を言う為に声を掛ける。
『あの、牛島若利さん。今日はありがとうございました。』
「……名前。若利でいい。」
『え、あの、私まだ一年ですし。その、呼び捨ては…』
「…あだ名ならどうだ。」
『あだ名…?うーん。。…“若”とかですか?』
「気に入った。」
おぉ。となんだかあの牛島若利に懐かれた感触があり少し感嘆の言葉を漏らすと不思議そうな顔をした若がニヤリと笑った。
「次は徹底的に捻じ伏せるから覚悟しとけよ。。」
『……!望むところです。次“も”負かせてあげますよ。』
そう言って握手を交わす。
そして私達は白鳥沢を後にした。
私を送り届けてくれている車の中で師匠は終始ニヤニヤしていた。
今日一日の取れ高が多くてホクホクのえびす顔だ。
そういえば若と私が握手していた時もキャーキャー言いながら写真撮ってたな…
なんか慣れちゃってツッコミもしなかったけど。
そんな師匠の横で私は若に言った言葉を反芻していた。
私の頭の隅に居て、会いたいのは…
そこまで考えると居ても立っても居られなくなり、私は蛍にメールを送っていた。
【蛍。会いたいよ。】
一言だけ、それだけを送る。
【分かった。】
そう返って来たメールを見てたった一文でも私は幸せな気持ちになったのだった。
そして車は私のマンションに着いて、師匠にお礼を言って降りて部屋に入る。
荷物を置いて一息ついた所で玄関のチャイムが鳴った。
---ドアの向こうまで蛍が来ている。
そう思うだけで心が逸る。
走って玄関まで行き鍵を開けた。
そして目に入って来たのは愛しい蛍の姿で。
目が合った途端愛しさが膨れ上がり、私達に言葉はいらなかった。
引き寄せ合うように玄関でキスをする。
まるで何年も会っていなかった恋人の様に。
離れていた時間を取り戻すようにキスをした。
蛍の首に腕を回してもっと深くキスを強請ると、蛍は私の腰を抱いて望むようなキスをくれる。