第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
遅れて助けてくれた竹本さんこと師匠は私の説明もしてくれた。
「この子は月刊バリボー専属のレポーターで現役の高校1年生のさん。
東北地方の高校に在籍しているんだけど、安全性の問題から高校名は伏せています。ご了承ください。
また、彼女にも守秘義務が課せられていて、バレーの戦略など取材で知り得た情報は自校に漏らさないように契約しているのでご安心ください。
何かご質問は??」
一気に大人な雰囲気で契約内容等をサラッと説明してくれた師匠に、バレー部の皆さんは何も言わず静まり返った。
が
唯一人を除いて。
二「はいはいはーい!質問!ちゃんは彼氏いますか?タイプはどんな人ですか?ってかぶっちゃけ俺ってタイプですか??」
『…は?』
あまりにも突拍子のない質問に思わず唖然としてしまう。
でもなんだか憎めない。それがこの人の魅力なのかな…
最早答える気もさらさら無くなった私が一人考え事をしていると、師匠が代わりに答えてくれた。
竹「えーと。彼氏は作らないという契約なのでいません。同じ女として言えるけど、彼女のタイプは君ではないと思います。他に何か質問は??」
ドライな対応に流石の二口さんも固まっていた。
やっぱり憎めない。そう感じたのだった。
伊達工業が練習を始めると東北のベスト4と呼ばれる所以を垣間見た。
圧倒的な存在感を放つそのブロックに思わず息を呑む。
あんな圧倒的なブロックがあったら流石の旭さんも撃ち抜けないんじゃなかろうか…
そこまで考えてふと頭の中の点と点が線で繋がった気がした。
まさか…3月の試合で当たったのは“伊達工業”かもしれない。
この圧倒的な力の前にひれ伏してしまったのかもしれない…
でも
今の烏野には小さな巨人、最強の囮がいる。
それに蛍だっている。まだまだブロックはいまいちだし、彼らに比べたら体の線も太くないかもしれない。
それでも、それでも、と願わずにはいられない。
先輩方の感じた無力感や敗北感。彼らが分裂しそうになった程の強烈な印象。
それでも今はあの頃とは違う。
希望を持って欲しい。
今はこの場に居ない彼らのことを考えて、私は勝利への希望を切に願ってしまうのだった。