第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
クロの真剣な視線にたじろぐ。
『冗談だよね…?クロ、そんな事言ってきたことないじゃん?』
黒「ずっと黙ってた。好きだからが離れないようにって。でもお前は勝手に居なくなって、他に男作って…。
俺がどんなに心配してたと思ってんだよ…」
苦しそうに心情を吐露するクロはいつもの自信たっぷりな様子は無く、消えてしまいそうだった。
思わず抱きしめたくなる。
しかし、身体が動こうとしたその瞬間に脳裏には蛍の姿がよぎった。
蛍。私の愛しい人。
力が弱まったクロの手をゆっくり解いてしっかりと向き合う。
『クロこそ私を子ども扱いしないでよね。もう私だって大人になったんだから。』
そう努めて明るく伝える。
---情に流されたらいけない。それは逆に人を傷つける…
黒「やっぱりは最高にいい女だな!」
『…へ?…んん!!!』
キスされている…そう気付いた時には目の前はクロのドアップで。
すると左側からクリーム色の何かが凄いスピードで近付いてきて、今度は強い力でクロから引き剥がされる。
その腕の中はいつもの安心する香りがする。
私は心底ホッとして蛍の胸にすり寄って、胸いっぱいにその香りを吸い込んだ。
蛍「黒尾さん…言いましたよね?僕のモノだって。」
黒「あれー?そうだったっけ?最近物覚え悪くてさー。それにしっかり躾とかないと隙ありまくりだからなー。気を付けろよー??」
クロは軽口を叩いてヒラヒラと後ろ手に手を振りながら去って行き、音駒のチームメイトの中に消えていった。