第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
竹本さんの不穏な空気を感じてその場を離れると、体育館前には音駒の猛虎さんがいた。
『あ、猛虎さん!ちょっとインタビューいいですか?』
「て、天使が俺に話しかけている…。いい匂いもする…。はッ!!ちょっとトイレに!!!!」
声を掛けただけなのに何故か焦り始めた猛虎さんは走り去っていった。
正直、レポーターになったのに全然仕事が出来ていない私は少し憂鬱になってきている。
---だいたいレポーターのせいでマネージャー業が出来なくなって、潔子さんの負担まで増やしちゃってるし。
安請け合いだったのかな…
「、大丈夫?」
『…へ?研磨…?』
うじうじクヨクヨ悩んでいる私の前に現れたのは研磨だった。
「なんか元気ないみたいだから心配した。クロも心配してたよ。」
『そんなに分かり易いかな?結構隠してたつもりなのに。』
「何年幼馴染やってると思ってるの。の事ならすぐ分かるよ。
…焦らなくてもいいんじゃない?結果は後から付いてくるから。」
何も話していないはずなのに研磨の言葉は今の私が欲しいものでスーッと心に染み渡っていく。
『そうだよね…。今は私の出来ることを精一杯やるだけだよね。』
コクンと頷く研磨の顔を見てなんだか安心感を感じていると、その後に続く爆弾発言に一気に現実へ引き戻された。
「ところで、クロとあんなことまでしたのに付き合ってないってどういうこと?」
『え!?』
「知らないと思った?」
『いや、あれはクロが舐めてっていうから!その方が丸く収まるし幼馴染だからって!別に深い意味はなくて!!!』
「え…そこまでしたの?」
『は?……まさか、鎌かけた、の?』
その事実に背中に冷や汗が伝う。
まんまと引っ掛けられた私は開いた口が塞がらない。
そして引っ掛けた本人の研磨も気まずそうだ。
「クロとそういう仲だったんだ…」
『ち、違うもん!クロに言い包められたっていうか!』
黒「…俺がなんだって??」
ドギマギ焦る私の後ろからニヤニヤ笑う悪魔の声がした。