第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
嘘を吐いてしまった気まずさから少し部活に行く足が重い。
でも図らずしも昨日の行為のせいで本当に体調は良くない。
そこまで考えられていての、あの仮病だったのだろうか…?
ううん…そんな訳…そんな訳…有り得る!蛍ならやりかねん!
そんな事を考えているといつの間にか校門まで来ていた。
するとそこには月刊バリボーの編集者の竹本さんが立っていた。
「あ!ちゃん!もう体調大丈夫なの!?さっき聞いてびっくりしちゃったわ!」
『おはようございます!まだ、本調子じゃないですがなんとか動けます。それよりも今日はどうしたんですか??』
「昨日及川君に東京の強豪校と戦うって聞いたから、とりあえずちゃんと撮らなきゃ!と思ってね。
しかも相手は因縁の相手らしいじゃない?いいわね!燃えるわー!」
『及川さん……やりかねん。』
「ほんとにもう大丈夫なの?初体験だったんでしょ?腰辛かったら言いなさいね?」
『へ!?』
最後にコッソリ囁いて来た竹本さんに驚くと、〝女の先輩舐めんじゃないわよー〟と彼女は笑っていた。
まぁ確かに付き合って昨日の今日だし、世間一般では有り得るのか…?
いや、有り得ないだろ…
とまたもや〝有り得る〟〝有り得ない〟理論に悩まされていると今度は体育館に到着した。
竹本さんと共に体育館に入り、皆さんに平謝りして、心配の声に罪悪感をチクチク刺激されながらなんとか乗り切った。
もちろん全ての事情を知っている潔子さんにはまたまた猛烈に謝罪をした。
「いいよ。今度詳しく教えてね。」
頬を染めながらそう優しく声を掛けてくれた潔子さんにうっかり惚れそうになった←
今日は月刊バリボーの記者という立場なので、報道マークの入ったビブスを着せられた。これで私は中立な立ち位置で取材をしなければならない。
『〜〜という事何ですが、どう思いますか?』
黒「あ?俺とお前の仲なのになんで敬語なんだ?」
『しょうがないでしょ、取材なんだから。』
竹「ちょっと待って!2人はどういう仲なの!?」
『あ、幼なじみなんです。去年まで音駒にいたので。』
その私の言葉を聞いて竹本さんの笑みは深くなる。
〝これは面白い事になった〟
そう呟く顔はさながらラスボスだった。