第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
『大丈夫!私が好きなのは蛍だけだから!』
笑顔で言うと今度は蛍の口からは大きなため息が漏れ出た。
「やっぱり今日、とシたい。を僕のものにしたい。」
そんな度肝を抜く言葉にビックリする。
シたいとは勿論あの事で。
私達が今日繋がるという事を意味している…
『でも合宿所じゃ…』
「分かってる。」
そう一言だけ言うと蛍に腕を引かれる。
訳もわからず付いていくとそこは校舎裏で。
『蛍?どうした…っ、ん!』
最後まで話させて貰えず口を塞がれる。
いつもとは違う性急なキスにどんどん酸素が奪われる。
口の端からはどちらの物とも分からなくなった唾液が伝い落ちる。
口内を掻き回されて息がドンドン荒くなる。
それでも不思議と怖くないのは蛍と付き合ったという事実があるからだろうか、それとも優しくて愛おしい物を見るような眼差しに包まれているからだろうか。
そんな激しいキスに更に臍下に熱がドンドン集まっていく。
ーーー触って欲しい。その思いに頭の中がまたもや塗り潰されていく。
理性を保てているのはここが校舎裏で野外という事だけで。
もう息が限界という所で、ようやく蛍が口を離してくれる。
そして動けない私を抱き上げて蛍は走り出した。
そんな事したら誰かと会っちゃう!と私が身じろぐと蛍に口早に伝えられる。
「今のは誰が見ても具合が悪そうだから、今日は家に帰らせて貰える。そして僕は家でを抱く。嫌なら拒否して。」
そんな蛍の言葉と、懇願するような視線に小さい声で私は答える。
『分かった。でもさっきも言ったけど、優しく…してね、』
「…当たり前じゃん。でもあんまり煽らないでよね。」
そう言うと蛍はまた走り出す。
私は嘘ついたら顔に出るからという事で、目をつぶって蛍に抱きかかえられる。
思惑通り武田先生はすぐに信じてくれた。
心配してくれている様子に良心がズキズキと痛んだが気付かないフリをする。
そして、親がいなくて迎えが来れない私を蛍が送っていく事を提案する。
更に蛍のお兄さんが半年ぶりに帰ってきているから家に自分も帰ると言い出す。
よくそんなにスラスラと嘘がつけるなと感心していると、ポンポンと予定通りに進んだ。