第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
約束していた時間に及川さんの待つ烏野高校の正門に蛍と向かう。
そこには及川さんの他にも編集者の方も居て、少し小走りで向かった。
昨日お願いしたばかりなのに、もう編集者の方に話が通っているなんてやっぱり及川さんは仕事が出来る。
『お待たせしてすみません!』
及「いや、まだ約束の時間より前だから大丈夫だよ。少し息の上がったちゃんも可愛いね。さぁ、及川さんと付き合おうか?」
変なエンジンフルスロットルの及川さんは止まらない。
そして私の隣の彼氏…になったばかりの蛍の怒りのフルスロットルも同じく止まらない。
蛍「すみません。僕の彼女になったのでそれは出来ないですねぇ。」
及「はぁぁぁ!?何で!?どうして!?いつの間に!?何で及川さんじゃないの!?なぜだァァァ!!!」
勝ち誇ったかのような顔を浮かべる蛍と、真っ白な灰になる及川さん。
彼らのせいで変な空気になってしまい、この空気をどうすればいいのか…。
そんな事を考えていると、ふと編集者の方に話し掛けられた。
編「あの、貴方がさんなのよね?私、月バリの編集に携わっている竹本美鈴です。」
その一言になぜ自分がここにいるのかを思い出した。
ついつい2人のフォローをしなくては!と一生懸命になっていてすっかり忘れてしまっていたのだ。
『あの!すみません!急なお願いで、しかも無茶な事を言い出してしまって!』
竹「それは良いのよ。ちょうど選手と同じ目線でレポート書いてくれる子を探していたのよ!
及川君から聞いたわ。東京でベストリベロを取ったんでしょ?しかもそのルックス!
貴方こそ私達の探していた月バリのアイドルよ!」
『え゛……アイ…ドル……??』
竹「そう!やっぱり数字を稼ぐには今流行りの逢えるアイドルが必要だ。って話してたのよ!そんな中、経歴も可愛さも申し分ない貴方が転がり込んできたのよ!
これは運命!ね!レポーターやってくれるわね?」
あまりの勢いに押され気味になるが、私としてもこれは思ってもみないチャンスだ。
アイドルって言っても所詮レポーターで、アイドル的人気を勝ち取ってという意味で。
やってやる。
私だって皆と同じ舞台で試合が見たい。
そして契約に私は頷いた。