第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
ちゅ。
そんな可愛いリップ音の後に離れていく蛍と目が合う。
今までと全然違う。
触れ合う唇の温度や蛍の香りは変わらないけど、絶対的に心の埋まり方が違う。
心にほわっと灯りが灯ったように暖かくなってビックリした。
「そりゃあ違うデショ。もう付き合ってるカップルなんだから。」
ーーー久しぶりのテレパシーもなんだか嬉しい気がする。
「で。考え中の所悪いけど僕の物になったってことは、今日中に身体的にも僕の物になるけど異議ある?」
『へ?』
「だから、身体的に繋がるっていう意味で…どんだけ鈍感なの?えーっと、つまりーーー」
『いやいやいや!意味は分かってます!い、い、異議あり!!!』
トンデモ発言した蛍は、鈍感な私が理解できないと思ってか更に言葉をリアルな方向で説明しようとした。
すかさず止めた私に対して“なんだ、分かってるんじゃん”とでも言いたげな顔をしている。
いや、言っている。テレパシーだ。
でも今は合宿中で皆居るし…
…だってだいたい合宿所でとか無理だし。
でも、だって、を繰り返している私に、蛍はさっきまでの赤くなった顔を引っ込ませて飄々とした顔つきになっている。
「じゃあ、場所が家なら良い訳だよね?合宿所とか関係なくてさ。」
その問いかけに私はフリーズする。
ーーー言われてみればそうだ。
私のさっきの考え方なら場所が合宿所ではないならば、蛍とひとつになってもいいって事だ。
正直言ったら怖い。痛いって聞くし、怖くない訳ない。
でも、蛍を失う事よりも今の私にとって怖いものなんてないじゃないか。
ぶっちゃけ、ここで断っても蛍は多分許してくれる。それでいいのだろうか。
蛍は私が自分のものだっていう確証が欲しいんだろう。
私だって蛍との繋がりを感じたい。あの体温に包まれたい。
ようやく手にしたこの幸せを無くさないように、蛍を信じてみよう。
そして意を決し、蛍を見上げて消え入りそうな声で真っ赤な私は呟いた。
『……優しくしてね。』
「もちろん。僕を誰だと思ってるの??ってか可愛すぎ。」
そう言って笑い合う私達は確かに幸せに包まれていた。