第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
そんな青城メンバーを暖かく見守っていると岩泉さんが振り返ってきた。
そして目が合うと口パクで「次は決める」と伝えてくる。
ビックリしながら頷くと少し口を尖らせながら前を向いてしまった。
その耳は真っ赤になっていて、思わずこっちも赤くなる。
なんだか男らしくて少し可愛らしい岩泉さんに胸がときめいた。
さすが私のタイプだけある…キュンキュンさせてくる←
赤くなった顔を隠そうと両頬を手で押さえた私は、そのまま試合を見守った。
今度はヒョロヒョロと飛んできた日向のサーブを冷静に松川さんが捌いて、及川さんがトスを上げる。
そのトスの先にはスガさんが居て、烏野から蛍と旭さんの2大巨塔がブロックに飛んだ。
そしてスガさんは大きく振りかぶった後にちょんっとフェイントをかける。
そのボールは誰にも触れられることなく烏野コートの床に着いた。
「「「フェイント~~~!?」」」
烏野チームと私は驚きの声を上げる。
まずスパイク側にスガさんがいるのも珍しい上に、打つかと思いきや完璧なフェイントを仕掛けられたらそれを取れるものは中々いないだろう…
夕ちゃんを除いては。
だからこそ日向がサーブで蛍が前衛の、夕ちゃん不在のこの時を狙ったのだろう。
あまりの頭の回転の速さに舌を巻く。
スガさんと目が合うとピースサインを作って無邪気に声を掛けられる。
菅「俺だってたまにはに良い所見せて胸キュンさせたいからさ!どうだ!参ったか!」
そう言って耳を少し赤くして笑うスガさんに釣られて私も笑みが零れる。
『ズルいです。すごくすごく……かっこ良かったです。』
絞り出すような声でそう伝えるとワシャワシャと頭を撫でられ、“ヨシッ!成功!”と嬉しそうに言うスガさんから目が離せなくなる。
岩「(おい、クソ川。今の流れだと俺にトス挙げるだろ、普通。)」
及「(なんでちゃんに岩ちゃんのカッコいい所見せないといけないわけー?俺だってちゃん狙ってるんだから邪魔しちゃうもんねー。)」
岩「(てめぇ…後で覚えてろよ…)」
及「(いいもん。全力で逃げてやるんだからね!)」
そんな冷戦が人知れずコートの隅で繰り広げられていましたとさ……