第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
岩「大丈夫か?……何かあったのか?あのノッポと。」
『え…』
岩泉さんの射抜く様な視線と的確な物言いに圧倒される。
“ノッポ”とは恐らく蛍の事だろう…
やっぱりあの青城の副部長をやっているだけある。
只者じゃない。
『別に何もないです……何もない…関係に戻っただけです。』
岩「そっか。じゃあ俺にもチャンスはあるんだな。“タイプ”だけじゃなくて“好きな人”にさせてやる。」
『へッ…?』
岩『覚悟しろよ。同じチームの俺に惚れさせてやる。』
そう言ってワシャワシャと私の頭を撫でる岩泉さんに目は釘づけになる。
彼の瞳は獰猛な狩人といった感じで鋭く私を捉えた。
思わずゴクリと喉が鳴る。
花「(…岩ってあんなにかっこ良かったっけ?)」
松「(俺も思った。つーか渡が腹痛訴えて今日来なかったのってまさか岩泉がやってんじゃ…)」
花「(…やめとけ。探るな。俺もまだ命が惜しい…)」
金「(ぶるぶるぶるぶる…)」
やっぱり男のフェロモンムンムンな岩泉さんと居ると、この人の彼女って幸せになれるんだろうなぁって思ってしまう。
……また私ったら考えが逸れてる!
集中、集中!
久しぶりのバレーの試合なんだから!
しかも相手は烏野!
いい機会だから皆の弱点を狙って行って皆のレベルアップを図らなきゃ!
そしてホイッスルが鳴る。
お互いの挨拶と共に1歩、コートに踏み込むと四強とされる青城の雰囲気に思わず息を飲んだ。
ピリピリとするそのプレッシャーに少しだけ身じろぐ。
すかさず両横に居た岩泉さんと花巻さんに同時に背中を支えられる。
岩「大丈夫か?」
花「安心しろ、俺達が居れば負けないぜ」
い、イケメン!!←
そして更に後ろから及川さんの甘い声がした。
及「ちゃん、俺達は強いから一緒に気持ち良くなろうね」
『…っ!?』
その反則な言葉に赤くなってしまう。
ーーーくそー。相手は及川さんなのに!←
そしてサーブ権は烏野に渡ってゲームがスタートした。
最初のサーバーは蛍。
蛍の強い視線を感じる。
でも無表情で全然心が読めない。
ネットを挟んだこの距離が疎ましい。
あんなにテレパシーを感じ合えていたのに、こんなにも…遠い。