第4章 復帰と合宿とお猫様
『心配かけてごめんね。』
蛍「別に心配してないし。」
そう言いながら靴を履いて、蛍の隣に移動する。
超怒っている、所謂オコの蛍はそれでもなんとか口を利いてくれているから最悪な状態ではないらしい。
そんなレベルで彼の怒りバロメーターを測っていると、蛍は一刻も早くここから離れてお小言を言う為にクロに形式ばった言葉を送った。
蛍「うちのがお世話になったようでありがとうございました。」
黒「いやいや、元々は俺達のだったんだから当然のことをしたまでですよ。」
蛍「それにしても一日マネージャーしてあげたんだから感謝して欲しいくらいですけど。」
黒「迷子を救ってあげて晩御飯を食べさせて、少し布団で寝かせてあげたんだからプラマイゼロじゃないかな?寧ろ感謝されて当然のことじゃないですかね?」
“布団で寝かせてもらったの!?”という蛍の怒りの視線が飛ぶ。
“う、うむ”と武士言葉で返答すると“後で覚えてなよ!”とまたテレパシーで怒られる。
シュンとしていると蛍の手が伸びてきた。
クロにされた様にジャージを脱がされていく手つきに“今度は烏野に帰るんだなぁ”と他人事の様に思う。
そして研磨の持っていたジャージを受け取り、名実ともに烏野のマネージャーに戻った。
そして更に研磨から鞄を預かる。鞄に付けていたキーホルダーがキラリと光を反射させて光った。
するとクロからふと言葉を投げかけられる。
黒「まだそのキーホルダー持ってたんだな。未だに大切にしてんのかよ。」
呆れた様な声色に私はギクリとした。
知られてしまった。
いや前々から鞄に付けてはいたけれど…クロ達まで知っている程大切にしていたと知られてしまった。
張本人の彼に。
ギギギギと音がするほどにゆっくり蛍の方を見るとその顔は嬉しそうにしていて。
蛍「あぁー。そんなに前から僕と“お揃いの”キーホルダー大切にしてくれてたんだね。僕も君から貰った日から大切にしてるんだ。」
そんな芝居がかった蛍の言葉に私は白目を剥いた。
クロと研磨は昔からが大切にしていたキーホルダーの意味が分かり殺気立った。
コイツのせいでは烏野に行ったんだ。
コイツのせいで離ればなれになったのに、はコイツの隣にいるなんて…