第4章 復帰と合宿とお猫様
勝ち誇った顔のと、焦ったようなクロ。
布団の上の2人は対照的な顔をしていた。
クロから見れば長年想っていた幼馴染が自分に奉仕をしてくれた。
しかも彼女の口には彼自身を引き抜いた時の液体が付き、煽情的な様相を呈している。
当の本人は無邪気なもので、“苦い”とか“口の中がネバネバする”と騒いでいる。
どうしたものかと悩んだクロは、とりあえず部屋にあったオレンジジュースを渡して口直しをさせる。
『精液ってあんなに苦いんだね!びっくりした!』
そんな無邪気な言葉が理性の糸を全力で切ろうとしてくる。
待て待てとクロは心の中で葛藤していた。
そういう心情を全く知る由のないは、口の端についた精液を人差し指で掬ってチュッと吸う。
そしてまた“やっぱり苦い”と呟いてオレンジジュースをあおった。
「もう限界だ。」
理性がブチ切れたクロは徐に目の前のを抱きしめようとする。
と同時に部屋に控えめにノックの音が木霊する。
研「?起きてる?烏野の人が迎えに来たよ。準備して。玄関で待ってるから。」
『う、うん!分かった!すぐ行く!』
黒「(結局抱きしめたりキスしたりっていう恋人みたいなこと何一つ出来なかったな。それ以上の事はしたけど←)」
隣のクロがそんな事を考えているとは露知らず、は布団をせっせと直していく。
そして部屋の前の人の気配が居なくなったことを見計らってクロと外へ出る。
なんだかその様子が探偵ドラマみたいで頬がにやける。
『なんか探偵みたいじゃない??』
そう笑顔で伝えるとクロもつられて笑いながら“ガキか!”と頭をクシャクシャとされた。
そんなじゃれあったまま玄関まで向かうと研磨が私の鞄とジャージを持って待っててくれた。
「研磨!ありがとう!」
そう笑顔で言って近付くとその研磨の小柄な体格の先に絶対零度の鬼のような人が居た。
蛍だ。
どうしてどうして。てっきり大地さんあたりが迎えに来るかと思ったのにこんな時によりにもよって蛍なのだろうか。
迷子になった挙句、そのまま音駒のマネージャー手伝いをして晩御飯までご馳走になって、帰りは蛍の手まで煩わせてしまって…怒られる理由が多すぎる!
背中を一気に冷や汗が流れた。