第4章 復帰と合宿とお猫様
黒「なにも本当にたーんと食べることねェだろ。ものには限度があるだろ。」
そう諭される私はクロからの言葉に小さく頷きながらクロの腕の中。
『すんません。』
もはや謝るしかない。
おばちゃんの言葉通りたーんと食べた私は動けなくなってしまい、少し休ませる為にクロにお姫様抱っこで休憩室に運ばれている。
あぁ、穴があったら入りたい。
研磨に呆れられ、猛虎さんに萌えられ(←)、夜久さんに心配されて…ほんとに恥ずかしいったらありゃしない。
大きなクロに抱き上げられ、懐かしい香りと暖かい体温に包まれている私は満腹感も相まって只今猛烈な眠気に襲われている。
眠い。もうひたすらに眠い。眠い以外の言葉が思いつかないほど眠い。
クロがさっきから何か言ってくるがその低いテノールでさえも眠気を誘う。
「ったく。聞いてんのか?ってお前眠いのか?」
『う………も…う眠くて……』
「しょうがねぇなぁ。ちーとばかし寝るか?もう少ししたら烏野のやつが迎えに来るって言ったしそれまでゆっくり寝てな。」
『…うん。ありがとう……やっぱりクロは安心する……ありがと……』
そこまで言うと私はもう夢の中に引きずり込まれた。
少しの間浮遊感が続き、少しすると柔らかな布団の感覚があった。
頭を撫でられる感覚に心地よさを感じているとふとその感覚がなくなる。
「風呂に呼ばれたから行ってくる。」
そんなクロの言葉と共に傍にあった気配がなくなる。
夢の中なのにまだうっすらと意識が残っていた私は途端に寂しさを感じる。
この寂しさにもずっと慣れてきたのに、久しぶりに今日は強く感じる。
これも音駒効果なのだろうか…
そこまで考えた所でついに本気の睡魔に意識まで引きずり込まれる。
ブツッと意識が途絶え、私は本当の夢の世界に連れて行かれたのだった。
それからどのくらい経っただろうか。
顔に冷たい雫が降って来た。
ぽた、ぽたっと当たる雫に意識が浮上してくる。
辛うじて開けた瞼。その視線の先にはクロがいた。
じーっと見下ろしてくるクロは無表情。
「起きたか。無防備に寝やがって。」
そう呟いたクロはお風呂上がりの様で髪が濡れていた。
その漆黒の髪からぽたっとまた雫が落ちる。
『冷たいよ…クロ。』
「我慢しろ。」
そう言って口角の上がったクロの顔が近付いた。