第4章 復帰と合宿とお猫様
「よろしくお願いします。」
そう言って槻木澤高校のキャプテンと握手を交わすクロは笑顔を張り付けていた。
その圧倒的な存在感に相手のキャプテンを始め、チームメンバーも一様にビビっていることが分かった。
そしてその彼らが更に縮み上がるのは試合が始まってからだった。
レシーブが上手。そんな簡単な一言で表現できないほどの彼らの身のこなしに驚く。
その中でのリベロは流石という印象で。リベロの夜久さんはしなやかに的確にボールを上げていく。
夕ちゃん以来初めて尊敬するリベロに会って、私は目を輝かせて彼のプレーを追った。
---いかん。いかん。もっと全体的に皆を観察して、6日の練習試合で烏野が良い練習ができる様にしなきゃ!
さながらスパイ気分の私は意気揚々と彼らの“偵察”を続ける。
堂々と出来るのがマネージャー特権だ!
研磨のトスは綺麗だ。
冷静かつ的確にトスを上げていく。
実は研磨のトスを見たのは研磨が中学生の時以来でその成長に驚いた。
2年生になるまで正セッターをやっていなかったのが嘘のようだった。
去年見たあのセッターよりよっぽど研磨の方が上手なのに!
なんてもったいないことを!
そう鼻息荒く私は食い入るように試合を眺めた。
クロもクロでやっぱり上手い。
彼の狡猾なプレイスタイルはそのままに、更に相手を翻弄する技が増えている。
昔一緒に練習した一人時間差も健在で、思わず笑みが零れた。
よく研磨がトス挙げてクロがアタック打って、私がレシーブしていたあの河川敷を思い出す。
その頃に比べて成長した彼らの姿にやっぱり胸がときめいて、“男”を感じた。
みんな真剣にプレーしているのになんてふしだらなことを!と頭を振って集中する。
そろそろ必要になるであろうタオルとドリンクを準備した。
そして私の読み通り、押されっぱなしだった相手校がTOを取る。
そして戻って来るみんなにタオルとドリンクを渡していった。
猛「天使が俺に微笑みながらタオルを!うおおおおおお!マネージャー最高!ドリンクもなんて美味しいんだ!!!この美味さとときめきは媚薬か!?媚薬が入っているのかーーーー!!!!?」
度肝を抜かれるような猛虎さんの発言にワタワタしてしまう。