第4章 復帰と合宿とお猫様
対戦相手の槻木澤高校に着くとみんなアップに向かっていく。
向こうの監督に挨拶に行く猫又さんと直井さんに、私とクロも付いていった。
自己紹介を促されて面倒だったので色々割愛して“マネージャーのです”とだけ伝える。
槻木澤の監督の「音駒はプレーだけでなくマネージャーのレベルも高いんですね。」という言葉に、私は一気に恥ずかしくなって顔が真っ赤になる。
監督、コーチ、クロに至ってはニヤニヤしている。
コイツら、楽しんでやがる!
そう心の中で毒づくが、とりあえず今日は私は音駒のマネージャーだ。
平常心、平常心と心の中で繰り返しながら、挨拶が終わったクロと私は監督とコーチを置いて先に職員室をあとにする。
体育館に差し掛かった所、私には聞き捨てならない会話が聞こえてきた。
A「なぁなぁ音駒のマネージャー超可愛いよなッ!」
B「分かる!しかもあの胸は着痩せタイプ!絶対Dはあるなー!」
A「やっぱ音駒の誰かと寝てんのかなぁー」
B「うわ!マジか!羨ましいー。あの白い肌のオッパイ吸い付いて、細い腰持ってガンガン腰振りたいよなー」
A「分かるー!あぁ羨ましいぜ音駒。つーか見ろよ、アレ。女みたいな奴いる。アイツがセッター??マネージャーの間違いじゃね?」
B「なんかヒョロヒョロしてる。」
A「控えセッターなんじゃないのか?学校名聞いた事ないよな。」
私との情事の妄想と、研磨への言われ様にクロが黙っているはずもなく。
少し早歩きになって彼らの元へ向かって話しかけるクロに私は苦笑いを浮かべる。
黒「君等の言うヒョロッヒョロのチビとは、俺達音駒の背骨で、心臓で、脳です。
…あとうちのマネージャーは可愛いけど夜のプレイなんて激しくて、君達の想像以上なんだ。下手に手を出したら食べられちゃうよ?」
『な!!!!何言ってるの!?』
クロのとんでもない発言にその場の人間が顔を赤くした。
ちょっと来て!とクロを音駒のコートに連れて行き問いただす。
するとニヤニヤした顔が返って来て私の嫌な予感は的中した。
「あ?夜のプレイってバレーの事に決まってんだろ?他に何があるんだよ。……何と勘違いしたのか俺に教えてくれるかな?」
至極楽しそうに言うクロに殺意が芽生えたのは言うまでもない。