第4章 復帰と合宿とお猫様
クロside
見つけた研磨は案の定、烏野の奴と居て。
俺の読みは正しかった。
あのままを連れて行ったらそのままあのガキと一緒に烏野に連れて帰られる羽目になってた。
迷子になってた研磨はというと、のんきに“烏野って面白そうだった”と言っている。
俺のこの今から言う言葉の後に同じ事言えるのか、と心で思いながら少し溜めてから研磨に伝える。
『が見つかった。その烏野バレー部のマネージャーしてるってよ。』
研「は?なんで烏野?と会ったの?」
その質問にニヤリとすると研磨が珍しく焦ったように俺に詰め寄る。
研「いつ?今どこにいるの?烏野?なんで俺だけ会えないんだ!クロだけズルい!」
今にも泣きだしそうな研磨の表情に驚きながら、ウチのチームで足止めさせていることを伝えると弾かれた様に研磨は走り出した。
『ちょ!ちょっと待てよ!お前今迷子になったばかりだろ!?』
珍しく感情的な俺たちの“脳”である研磨に俺は驚くと同時に嬉しく感じる。
が居なくなって悲しがっているのは自分だけかと思っていたからだ。
昔から表情に感情を外に出す奴ではなかったから、今回の件でも特に様子変わっていないように見えていた。
研磨だって悲しかったんだ。そう確信できた。
研磨も研磨で悩んでいたんだ。俺達の姫はそういう存在だったんだ。
探しに行ったはずの俺が置いて行かれそうになるという妙な構図のままの所へ戻った。
すると数分前のまま、男たちに囲まれた状態のが遠目に見える。
研「!!!!!」
いつも冷静な研磨の初めて聞く切羽詰まった大声に俺ならずとも皆が驚いた。
そして大きな目を更に見開いたに向かって研磨が駆け寄る。
そのままの勢いで研磨はを抱きしめた。
「わぷ!け、研磨??」
研「なんで!なんで!いきなり置いて行ったの!俺…俺…悲しかった。捨てられた…と思った。」
俺の目線からでは研磨の背中しか確認出来ないが、その背中は小刻みに揺れていた。
俺があと1年若かったらあんな風に皆の前で気持ちをさらけ出せただろうか。
答えは否。
その感情剥き出しの研磨が俺にはとても眩しく見えた。