第4章 復帰と合宿とお猫様
クロside
さっきから話していると隣のからチラチラと視線を感じる。
上目遣いで遠慮がちに見てくるその視線に加虐心がふつふつと沸き立つ。
我慢しろ。俺。
今は俺への尊敬心とか安心感を植え付けなければ!
ちょっとキスはしたけどそれは男だと印象付ける為で!←
とりあえず、音駒の連中にを預けて研磨を迎えに行こう。
研磨に会う前にが烏野の連中に会ったらを回収されてしまう。
あと3日後に会えるといってもこちらは数か月ぶりに会ったんだ。もっと一緒に居てもいいだろう?
音駒のメンバーに任せておいて、その間に監督に話をつけて今日のマネージャーをやってもらうようにしておけばいいな。
はベストリベロまで取ってんだ。練習に混ぜても問題はなさそうだし、うちにとっても利益は十分だ。
そして、なにより可愛い←
親(幼馴染)の欲目とかそういうの全部抜きにしてもコイツは可愛い。
この可愛さで他の奴らの練習効率も上がるはずだ。
猛虎は特に←
烏野としても、わざわざ来てやった東京の学校に対しても断れないだろうし。
なんていい作戦なんだ!
部にとっても、何より俺にとってこんなに良い作戦はないな。
そんな策士な事は外にはもらさず俺は飄々とを烏野運動公園に送り届ける。
“ここまでで大丈夫だから”と言うを丸め込む。
「信用ならないからここで俺のチームメイトと待っとけ。
それに研磨もお前と会いたがってたんだから、顔ぐらい見せてやれ。な?つーか、自分だけお前に会えなかったら研磨が拗ねる。」
そう伝えるとその研磨の様子を思い描いたのか困り顔だったが笑顔を見せる。その華のような笑顔に不意にドキッとさせられる。
これだ。俺が求め続けていたものは。
そう確信し、ようやく渇望していた物を手に入れた俺は久しぶりに心から笑えた気がした。
そして遠くで俺とを見つけたであろう部員の奴らの騒がしい声が聞こえてきた。
あと5秒。
今だけは俺のモノ。
その幸福感に俺は打ち震えていた。
---必ずまた手に入れてみせる。
そう決意した5/3。少し風のある日だった。