第4章 復帰と合宿とお猫様
昼ごはんも食べ、午後の練習に一区切りついた午後2時に皆はランニングへと向かっていった。
皆が走りに行っている間に潔子さんとドリンクを作り、ビブスを洗い、体育館にモップをかける。
こうやって縁の下の力持ちがいるからこそ、上手く物事が回っていくんだろうなぁと思っていると、目の前には縁の下さんが居た。
息を切らして何かを探している様子の彼に聞いた事実に驚く。
なんと日向が迷子になったらしい。
日向らしいなぁ。と思いながらまた探しに向かう先輩の後ろ姿を目で追った。
なんか日向って時間を置いたらその分どんどん逆方向の遠くに歩いて行ってしまいそう…
そう思うと居てもたってもいられなくなり、私も探しに向かう。
その場にいた潔子さんにそう告げ走って体育館を出た。
のが間違いだった。
私が居るのはよく分かんない商店街。
ここどこですか?
よく考えたら私もこっちに来て2ヶ月で恐ろしいほどに土地勘がない。
なんであの時に探しに行こうとか思ったんだろう…。
1人でとぼとぼ歩きながらついでに本来の目的であった日向の姿を探す。
でも万が一、日向が見つかったとしても彼と歩いたらそれだけで更に迷子になる気がするのは気のせいだろうか。
前を歩く小さい子供たちを見ながらため息をつく。
もしも日向がコケて怪我していたら!と思い、適当に救急バックの中から数品を自分の鞄に詰め込んできた。
その鞄もどっしりと重く感じられ、暑さと迷子で嫌な汗が顔を伝う。
目の前の子供たちがゲームセンターの前に止まったのを見て、私はその子たちに幼馴染の研磨を重ねて見た。
「は!?!?」
今しがた考えた研磨の幼馴染で、私とも幼馴染の彼の声が後ろからした。
その瞬間からさっきとは比べ物にならない冷や汗がドッと吹き出る。
これが1ヶ月前ならば完全に他人の空似で済まされたが、今は数日後に控えた烏野との練習試合に控えて宮城に居る可能性は大であって。
いや、まずそもそも後ろ姿で私の名前を呼んでいる時点で知り合い確定で。
どうしよう。どうしよう。と考えていると、肩に手が置かれる。
「見----つけた。」
そう言うクロの声に景色が真っ白になる。
ゆっくり振り返るとそこにはニヤニヤしたクロの顔があって。
その懐かしい顔に胸が騒めく。と同時に罪悪感を感じる。