第4章 復帰と合宿とお猫様
遅れて調理場に参戦した私は宣言通りお味噌汁作りを申し出る。
簡単なお味噌汁を作っていると武田先生と目が合う。
先生はものすごい速さで沢山の朝食を作っていたので、何か手伝えるか申し出ようかと思ったら武田先生から思いもよらない言葉を振り掛けられる。
「新婚さんのお味噌汁は出来ましか?」
『んなっ!!!』
聞かれていたことの恥ずかしさと、滅多にない先生からの不意打ちのイジリに動揺する。
ハッハッハと笑う武田先生にプンスカしながらお手伝いを続ける。
どっちかというと先生との共同作業なんだから先生と夫婦っぽいというのが普通の流れなんじゃないのか。
でも…先生は旦那様というよりは…うーんと、どちらかというと“お母さん”ぽいなぁと思う。
そう!お母さんみたいだからこんなに家族っぽいんだなぁ。
私、親と過ごした時間短いから愛情とかに飢えているのかも。
…愛情…ねぇ。
やめよう。これ以上考えるといらんこと考えて自分を追い詰める。
最近顔に赤血球が集まることが多すぎて、私の赤血球達は大忙しなのだ。
たまにはお休みさせてあげて少し、労わってやろう。
気付くと6時になっていてゾロゾロと食堂に皆が集まる。
皆口々に感嘆の声を上げながら武田先生の作った朝食を平らげていった。
少し遅れてランニング後の影山君が帰って来た。
その汗をかいた姿がかっこよくてキュンとする。
部活じゃないからと部活以外はメガネを外していたのは失敗だったか。
そんな影山君に気を取られているとふと隣に怒りのオーラの人が座る。
あ、蛍だ。
見なくても分かる。これは蛍です。This is a 蛍。いや、Heか。
蛍「F、おはよう。」
『へ?』
蛍「あ、間違えた。、おはよう」
そう言う蛍は意地悪ーい顔をしていて、途端に絶望を覚える。
ーーーだいたいFってバレたのは私のせいじゃなくて、大地さんのせいじゃん。私悪くないし。
「でもだいたいなんで大地さんが知ってたの。そこが問題でしょ。」
ーーーそれも鵜飼さんに見た目で言い当てられたの。
「ホントに?」
ーーーほんとです。私、嘘つかないもん。
私のテレパシーと会話をする蛍は、傍から見ると独り言でブツブツ怒っているように見えて、私達の周りにはいつの間にか全然人がいなくなっていたのだった。