第3章 にゃんこ兵長
「このっ、へんたいっ…………!!」
「ほらほらはやく~♪」
なかなかおねだりしてくれない兵長の尻尾の根元をぎゅっと摘む。
「にゃぁああっ!!」
ビュルルルルッ
「えっ?ええっ!?」
「ぁ、はぁー、っ、んっ………」
肩で息をしながらくてん、と力なく横たわる兵長。ズボンは傍から見てもわかるぐらいグチョグチョになっていた。
もしかして、今のでイっちゃったの!?
「兵長、まさかとは思いますけど、イっちゃいました??」
「……聞くな、ばかぁ……!!」
両手で顔を隠しているけど顔が真っ赤なのはバレバレで。
どこまで可愛くなれば気が済むのよ、この人は。
愛おしくなって頭を撫でると、さっきまでそこにあった猫耳がなくなっていた。ついでに尻尾も。
「ええええ無くなっちゃってる!!なんで!?もっと遊びたかったのに!!!!」
おねだりもしてもらってないし、イキ顔もしっかり確認出来てないし、お風呂にも入れてないし、コスプレもしてないし、(自主規制)とか、(自主規制)とかも……!!!!
「調子に、乗るなっ!!!!!!」
「ふぎゃああっ!!!!!!」
兵長のグーパンチで扉までぶっ飛ばされる。さっきのゲンコツなんて比じゃないぐらい痛い。顎外れたんじゃないかなこれ。モザイクかけないといけないぐらいグロイ姿になってそうだな、私。
「……………かった…………」
「はい…?」
「こんなかっこ悪い姿、お前にみられたくなかった…」
声の暗さに驚いて顔をあげると、兵長が膝の上で両手をにぎりしめて俯いていた。
想像以上に落ち込んでいて慌てた。いや、あんな事されたら誰だって落ち込む、って言うかもっと怒るかと思ってて……!
「すすすすすすすみませんでした兵長!!!!!!兵長が可愛いからって調子乗ってあんな事しちゃって……!!こここの事は誰にも言いませんしどんな罰も受けます!!」
「………怒ってねぇよ」
「だからっ……へっ?」
怒って、ない……?
「まぁ、勝手に人の部屋に入ってきていきなり襲った事に関しては許すつもりはねぇけどな」
「全部じゃないですか!!」
「ただ、好きな奴にあんな姿見られたのが情けなくて……」
「っ!?」
え、今、好きな奴って…………