第3章 失念×懸念
「二つ目はこの先に行けばわかる」
「この先?」
ふと視線を通路の奥へ向けると、数十メートル先に扉が見えた。
どうやら鉄製の物と思われる、いかにも頑丈に作られたような扉だ。
「ああ、屋敷の主人が集めてる品の保管部屋か。でも大した物は無さそうな感じだったけど」
「ここにとある国の古文書の原本があるらしい。まあ、盗りに来たついでだ」
「ふーん」
つくづく本が好きな奴だとヒロは思った。
(というか古文書なんて読めるのか?ましてや異国の)
内心突っ込んでみるが、クロロのことだ。
雰囲気で読んだり、手元に置いとくだけでも良いのだろう。
そうこうしている内に目的の部屋まで辿り着いた。
「また結構分厚そうな扉だな」
「下の金庫室と同じくらいか。ウボォーがいれば楽に開くんだけどなっ、と・・・」
言いながらヒロは扉の横に備えられているキーをスムーズに打ち込んでいく。
そして打ち終わると、自らの目を虹彩認証システムに通す。
「どのみち俺は正攻法でやる主義だけどね」
ピッと短い音がして、扉のロックが解除された。
有に数百キロはあるだろうと思われる扉をゆっくり開ける。
ギギギ・・・という音と共に、目の前には予想に反した光景が待ち受けていた。