第10章 玩愛 〈 マチアプ お兄さん 大人のオモチャ 〉
私たちは、ホテルの外に出ていた。
ーーー奇妙な事ありすぎだったよ...このホテル....
脳裏によぎる、ドーナツ状の三つ編み。
それを揺らして歩く、不思議な背中。
「…」
「送っていきますよ、僕」
「…え?」
隣のお兄さんを見上げる。
「最近事件があったでしょう..」
厚い雲が青空を覆い、辺り一帯がどんよりと暗くなる。
ゴクリ、と息を呑む。
『この辺りで刺傷事件起こったとか、SNSで見たわ‥』
友人との通話を思い出し、しかし私はにこやかに振る舞う。
「あー‥なんかナイフで刺された事件でしたよね、まじ怖‥」
お兄さんが急に立ち止まり、何も喋らなくなった。
ーーーえ?
その瞬間、ゴソゴソッ‥!と彼がポケットをまさぐった。
「っ…!??」
思わず、繋いでた手を振り解く。
「?瑠々さん?」
お兄さんはきょとんとして、ローターのスイッチを見せてくる。
「よかったあ〜ちゃんとホテルに忘れずもって来れたようですねぇ♡」
私もきょとんとして、脱力した。
「ああごめんなさい、もしかしてナイフか何かだと思いました?」
「ちょ‥ちょっと今びっくりしましたよ‥!もう、マジ何出してんですかっ」
雨が、
「ーーーそういやさぁ、聞いた?」
..降り始めていた。