第263章 ---.首から落ちた花
「貴女にもう少し慈悲があれば 父は罰だけで済んだかもしれないのに」
そしてその 原型の留めていない顔に触れる。
「美しい顔が 台無しね」
すると、彼女は力を込め、思い切り彼女の顔を蹴飛ばした。
「逃げようとしても、無駄ですよ?ここは私の嫁いだ岩井家の 殺気石の採掘場。原石たちがあちこちにありますから、鬼道は無効になっています。それに得意の抜刀術も 斬魄刀やそれに準ずる武器がなければできないでしょう?まあ 今の貴女にそんな芸当ができるとは思えませんけど」
鉄格子の外へと向かう。
「死にたいなら死んでも構いませんよ。それはそれで 私は嬉しいですから」
影が消えていく。
それを臨は 虚ろな目で見つめるとゆっくりと目を伏せる。
視界が暗くなる直前 右手首の痣が やけに鮮明に見え
ほんのりと その口元に笑みを浮かべた。