第360章 ---.新章
「ーーー随分と変な霊圧かと思えば……ただの虚ってわけじゃあなさそうっスねえ」
下駄に帽子、杖をついた甚平の男 浦原喜助は店の前に立つと、そこには人間と変わらない大きさの化け物がいた。
「最上級大虚ともとれますが霊圧がまるで違う。今まで感じたことのない霊圧ですね。だからといって虚とかけ離れてるかとも言い難い……」
次の瞬間、その化け物が消える。
ほんの一瞬の出来事に、浦原の反応が遅れた。
吹き飛ぶ身体。なんとか体勢を立て直すものの、ダメージは受け流すことが出来ず、口元から血を漏らした。
「んもー、危ないじゃないスかー」
おどけてみるものの、想定外の衝撃にふらつく。
その様子に化け物は驚くことも無く肩を鳴らした。
「縛道の六十一 六杖光牢!」
直後、店の中から光が放たれる。
その光は化け物へと向かうと、拘束具のように纏わり付いた。
「浦原殿!!」
鉄斎が店の外へと姿を現わす。
直後、その胸に化け物の腕が刺さった。
「ーーーー鉄斎サン!!!」
浦原の腰から下が地面へと落ちる。
それと共に、化け物の恐ろしく、悲壮に満ちた咆哮が月明かりに響いた。