第259章 ---.手を伸ばせども 届かない
「ということがあったのですが…」
十三番隊 大浴場
桶の中のお湯を 臨が頭から被ると、湯船に浸かったルキアにそう言った。
「姫乃というと、上流貴族の桜木家の長女でしょうか…………」
「正解です」
ゆっくりと、足の先から浴槽へと浸かっていくと、広々としたその空間で、臨は大きく溜息を吐いた。
「しかし、桜木の令嬢は個人的に暗殺者を飼い慣らしていると聞いております」
「流石貴族、貴族同士の黒い噂は聞いているという訳 ですか。」
「いえ そういう訳では…ただ、最近かの令嬢は我が家にも出入りしておりまして…………」
「あの小娘…失礼、姫乃嬢がですか……ルキア、貴女まさか あの人に何かされているということは……!」
肩をがしりと捕まれ、ルキアが身構える。
「い、いえ!私は特に何も!!ただ、兄様に再婚の話しがでておりましてっ!!」
「朽木隊長に?もしかして姫乃嬢が」
「はい。といっても、兄様はお断りしたみたいなのですが」
「うーん……まあ、四大貴族の年頃の男に、倅がいないというのも世間体が悪いですしね…………誰か紹介できればいいのですが、私も緋真に匹敵する良い娘なんてルキアくらいしか思い浮かばなくて…………」
「なっ」
それに臨は まあルキアは義理の妹だし白哉には流石に嫁に出したくないですねとカラカラと笑うと、冗談を言わないでくださいとルキアは眉を釣り上げた。