第10章 9.Monster and a Transfer
『へぇ、一発で死なねえか。なかなかやるじゃねぇの。……それにアンタ、俺が見えてるみたいだしよぉ、一体何者』
ルキアは強く路面を蹴り、喋る虚に膝蹴りを叩き込んだ。
体を翻して虚の背に立つ。
「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ!真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ!!破道の三十三!蒼火墜!!」
鬼道が虚の仮面にクリーンヒットし、ルキアはよしっと気を抜いた。
煙が晴れ、虚の仮面が見えるようになる。
(無傷……だと!?)
直後、虚の牙がルキアに襲いかかる。
それを間一髪で避けると、虚は笑った。
『今の術……知ってるぜ。死神の術だ!だけどアンタのは弱いな、スカスカだ!!アンタ死神だったのか、どうりでウマそうな匂いがするワケだ……』
そう言って眼を細める虚。
そしてそれはニヤリと笑った。
『俺はな、あのガキを成仏させに来た死神を2人ほど喰ったことがあるんだ、最高にウマかったなぁ……』
「あの餓鬼とは鸚哥に入っている霊のことかっ!」
虚がそうだと笑う。
「貴様はどうやらその餓鬼をしつこく追い回しているようだな。なぜだ?」
『さてね、アンタが大人しく俺に喰われてくれるなら教えてやるよ。』