第140章 ???.The Black Past
名前なんてどうでもよかった
ただ 死にたかった
上へとあげられ 渡されたものは一振りの刀と 黒い着物
黒い髷を結った黒い髭の男に 彼女は見覚えがある気がした
けれども 思い出せない
男は自身を総隊長と名乗り 男の後ろにいた少年は彼を山爺と呼んでいた
だが彼女にとっては どうでもいいことだった
目の前の男が何者でも
目の前の男の名がなんでも
男は 彼女が何者なのか教えてくれなかったし 彼女が何故閉じ込められていたのかすら教えてはくれなかったが 彼女にとってそれはもう既にどうでもいいものになりつつあった
無気力 で 無関心
彼女は死神になった
戦闘の知識も何もない 全くの初心者が剣を持つことに 彼女の同期たちは彼女を笑い 蔑んだ
しかし それすらも彼女にとってはどうでもいいことだった
一向に戦闘技術が向上しない彼女は 京楽と共に真央霊術院(当時の死神統学院)に入学し そこで浮竹十四郎と出会った
入学した当初 彼女は一度は死神として護廷に入ったくせに統学院へと入れられた落ちこぼれとして 周囲の生徒達からは見られていた。
とは言っても 彼女の側には幼い頃からやけに彼女に懐いていた京楽が側にいた為 面と向かって落ちこぼれと言う者はいない。
その上 学内で人気者である浮竹も彼女をやけに気に入り やけに世話を焼いたのだ
最初こそ多少の嫌がらせもあったものの 彼女があまりにも何事にも無関心で動じない為 何時の間にかそれも消えて無くなった。