第7章 6.microcrack.
「織姫ちゃん……!」
臨が織姫に駆け寄り慌てて回道をかける。
『織姫……織姫………』
浮つくように少女の名を呼ぶ昊を一瞥し、臨は集中した。
『ああ……俺は本当は気づいていたんだ織姫……おまえが俺を心配させないために祈るのをやめたんだってことを……でも……それでも祈っていて欲しかったんだ。俺のために祈ってくれている間だけは……お前の心は俺だけのものだったから……』
「………あんた、一体何見てたんだよ。」
一護が口を開く。
「あいつのヘアピン、あれあんたからのプレゼントなんだろ?井上言ってたぜ。お兄ちゃんが初めてくれたプレゼントだって、だから毎日つけてるんだってな。」
そう言われ、昊は織姫の頭についてるヘアピンを見つめた。
「同じなんだよ、死んだ奴も残された奴も……どっちも同じだけ淋しいんだ!自分一人だけ淋しがってるなんて……そんな勝手なこと思ってんじゃねえよ…!」
ヘアピンがキラリと光る。
『………気づかなかった。』
あのヘアピン 捨てたものだとばかり思ってたよ………
直後、彼は重たい体を引きずり臨の刀を拾った。
その刀身で、自身の仮面に傷をつける。
そこからガラガラとそれが崩れ、一護は目を見開いた。
「あんた、何して!」
「いいんだ……」
昊が目を細める。
「このままでいても俺は、きっといずれまた自分を失って織姫を襲う……だから今、少しでも正気を保っている間に消えておきたいんだ……」
一護が何故という顔をする。
するとルキアは案ずるな穏やかな顔をした。
「虚を斬るということは殺すということではない、罪を洗い流してやるということだ。斬魄刀で斬ることで罪を洗い流し、尸魂界へと行けるようにしてやるのだ。その為に……我々死神がいるのだからな。」
昊が刀身を自身に押し当てる。
「……それじゃ……さよならだ、織姫…………」