第97章 -17.逸れ行く星々の為の前奏曲
魂葬のノルマが終わり、恋次は刀を肩にかける。
「……なんつーか…思ってたより全然ラクだったな。魂葬ってなもっと面倒なもんだと思ってたぜ」
「そ……そうだね……」
吉良が刀を鞘から出したり入れたりしながらそう返事をする。
それを見て恋次はイラッとし、吉良の腰にチェストすると同じ班の雛森はやめなよと止めた。
それを見ながら檜佐木は資料を確認し、これで終わりと全員へ声をかける。
「よし!集合!!以上で本日の実習を………」
その直後だった。
悲鳴と、何かが刺される音。
檜佐木がゆっくりと振り向くと、そこにはよく見慣れた人物が真っ赤に染まり、爪のようなものに串刺しにされていた。
あがる悲鳴。
一回生達が混乱し、逃げ回る。
そしてその爪の主の姿に、檜佐木絶句した。
「巨大虚……だと………!?」
「貴様よくも蟹沢をォ!!!!」
同じく引率として同行していた青鹿が剣を抜き走る。
「止せ青鹿っ!!!」
青鹿の体に爪が刺さる。
そして檜佐木は剣を前に出すと、一年生に逃げろと指示した。
通信機を入れ、尸魂界へと連絡する。
「尸魂界へ救援要請!!こちら六回生筆頭檜佐木修兵!!現世定点1026番 北西2128地点にて巨大虚の襲撃をーーーー」
直後、檜佐木の右側から衝撃が走る。
吹き飛ぶ体。
それを見て雛森は立ち止まり、どうしてと呟いた。
「な、何してるんだ雛森君!!止まっちゃダメだ!」
吉良がそう言うが、雛森は聞かない。
「あたし達……どうしてみんな逃げてるの……………?」
「何言ってるんだ!逃げろって言われたじゃないか!!実習中の引率者の命令は絶対だ!!」
恋次も後に続く
「助けようなんて思うなよ!オメーも見たろ!?六回生二人が一瞬だ!俺ら一回生が何人かかっても………」
しかし雛森は、剣を抜き駆け出す。
その様子に吉良と恋次も駆け出した。
(………こいつら…霊圧を消せるのか…!!気付かねえ訳だぜクソっ!!)
右眼が血で見えない。
それでも立ち上がり、虚の攻撃に応じようとした瞬間、目の前に現れた3人の人物に驚愕した。