第88章 116.White Tower Rocks
懺罪宮
「四深牢への微かな霊圧の移動を感じて、どんな強者が霊圧をひそめて潜り込んだかと思い見に来てみれば…………何のことはない…羽虫か。」
下らないと白哉の眉が顰められる。
するとルキアは駆け出し、岩鷲を止めようと前へ出た。
それを花太郎が必死に止める。
「放せ花太郎!あの志波家の者を止めねば………!殺さ……れ…」
次の瞬間、ルキアは床へと倒れこみ、自身の状態に気付いた。
(殺気石の牢に入れられていたお陰で、霊力が極端に削られている……!久しぶりに触れる強大な霊圧に体がついていかない…………!)
その様子のルキアに花太郎は優しく声をかける。
きっと、何かすごい策があるんだからと
「………ーーーぼくは、そう信じてます!」
しかし、その一方岩鷲に策などなかった。
どうにもならない実力差。下手な小細工はやるだけ無駄
イチか バチか
「おおおぉおおおぉぉおお!!」
駆け出す岩鷲。策などないその行動に花太郎達も驚き思わずツッコミをいれる。
「さ、策なかったーーー!!」
「なーーんつって!」
大きく腕を振り上げる岩鷲。
「くらえィ!!!血涙だ……」
「失せろ」
途端に、岩鷲の腕に線がはしりそこから血液が吹き出す
「私の剣は、貴様如き羽虫を潰す為に無い」
「ぐああああああアッ!!!?」
何が起きたのか理解できないと岩鷲が叫ぶ。
しかし過ぎ去っていくその背中に何も考えずに声をあげた
「待ちやがれ!!!!」
床へと血液が流れる。
そのようすに呆れながらも白哉は視線を映すと、口をひらいた。
「どうやら耳が聞こえぬ様だな………私は失せろと言った筈だが……………」
「ゴチャゴチャうるせえぞお坊っちゃん!!あんたら貴族はどうだか知らねェが、この程度でビビッてにげるような腰ヌケはいねえんだよ!! 志波家 の男の中にはな!!!!」