第88章 116.White Tower Rocks
近付く凶悪な霊圧に岩鷲と花太郎の体が震える。
「朽木白哉……六番隊…隊長!!!」
花太郎のその言葉に岩鷲が驚いた顔をする。
「朽木白哉……あ、あいつが」
「し…知ってるんですか………?岩鷲さん…」
「当たり前だろ……朽木家っていや正一位の称号を持つ四大貴族の一つ……!あいつはそこな歴代最強と言われる現当主じゃねえか………今の十三隊長の中で一番有名なのはあいつだろ……!!」
たらりと岩鷲のひたいを冷や汗が流れる。
勝てるわけがない。
そう思うと岩鷲は諦めたような顔をして、花太郎に提案をした。
「いっそのこと………命乞いでもして見逃してもらうか……………」
その言葉に花太郎が驚く。
「な、何言ってるんですか?岩鷲さん!!逃げましょうよ!ルキアさんといっしょに!!」
「バカ野郎!!逃げ道なんてどこにあんだよ!?道はこの橋一本だけだぞ!!あいつと戦って逃げろってのか!?命がけで!!こいつの為に命張れってのかよ!?
こいつは俺の兄貴を殺したんだぞ!!こいつの為になんか命張って戦えっかよ!!こんな奴の為に…………!」
憎しみの宿るその瞳に、花太郎が唇を噛みしめる。そして諦めたような表情のルキアを見て拳を握り締めると、覚悟したかのようにまっすぐと岩鷲を見つめた。
「……わかりました、仕方ないですよね………元々岩鷲さんにはルキアさんを助ける理由なんてなかったんだし…………ここでムリに引き止めようなんてムシのいい話ですよね…………だ、だからせめて…逃げる時はルキアさんを連れて逃げて下さい………」
真剣な顔で
「ここは ぼくが食い止めます!!」
その言葉に岩鷲は狼狽える。
「な、何言ってんだオマエ………わかんねえのか……?」
「わ、わかってるつもりです……岩鷲さんの気持ち…ぼくだって仇の為に命なんて張りたくない……岩鷲さんの立場ならきっとそう言います……」
「そうじゃねえよ!あいつの霊圧……さっきの更木って奴と同じか……それ以上かも知れねえ!そんな奴が俺らの手に負えるワケ……」
「それもわかってます!………それでも、ぼくはルキアさんを助けたくてここまで来たんです………このまま何もしないで帰るなんてできないんです!!」
その答えに岩鷲の時が一瞬止まる。
そして花太郎は笑顔をつくり、これでもかという程頭を下げた。
「今までどうもありがとうございました!!…………行ってきます」