第87章 115.Remnant
意識を失った一護の頭の頬の傷を優しく撫で、ゆっくりとその体を抱える。
「ごめんなさい一護くん………少し遅れました。」
そう呟いた臨の身体にも、所々血が流れている。
「まったく、無茶をして……でも、あの更木剣八相手によくやりましたね。……….絶対に死なせはしません、一護くん。」
「ふう、ようやく霊圧が止んだか……それにしても凄まじい戦いだったな…この懺罪宮の東半分の建物は崩れ落ちてしまった…他の牢に影響がなければ良いが……」
男が呟く。
すると隣にいた男に震えているのか情けないと鼻で笑われ、男は激怒した。
口論が行われ、辺りが急激に騒がしくなる。
すると片方の男のひたいに何かがふれ、男はそれに意識をとられた。
「何だこりゃ……鳥の糞……?」
直後、ばたりとその男が倒れる。
「お、おいどうした貴公!?」
喧嘩仲間が急に倒れたことにより驚き、辺りを見回す。
すると隠れる人影が見え、男は激昂した。
「おのれ逃がさんぞ曲者!!」
するとその背後に人影が現れ、その男をものすごいはやさでノした。
転がる男二人共
「やりすぎですよ岩鷲さん……ひどいなあ」
「うるせー!オマエこそ何だよさっきの薬!?」
そう言うと花太郎は屋根から降りてきて、手に持っていた瓶を見せた。
「震点っていう麻酔の一種です。霊圧の低い人なら一滴皮膚についただけで意識が混濁して卒倒します。」
「こ、怖えーモン持ってんなオマエ……」
「そうですか?でも強い人には効きませんよ」
そう言うと扉へと向き、二人はここかと視線を向けた。
「入り口はシャッター型か……さて、どうやって開けるかだが…………」
「大丈夫です。」
花太郎が襟元から鍵を取り出す。
「昨夜のうちに地下水道の牢鍵保管庫から、予備の鍵を拝借してきましたから……….」