第84章 100.それは岩壁の花に似て
たしかに自分達の時も厳しかったけれど、それ以上に厳しかった時があったなんて想像できないと驚愕の事実に口元をおさえる。
「………これはプライベートのことだからあまり言わない方がいいのだろうけど、臨さんが優しくなったのは朽木女史を育て始めた頃からなんだ。」
「朽木さんを?」
「そうだよ。彼女が朽木家の養子になったことは知っているだろう?」
「は、はい……」
「まだ赤ん坊の時に拾ったみたいでね。………随分と可愛がってたみたいだよ。」
その言葉に、雛森は納得がいった。
だからか、だから尸魂界を裏切ってまで朽木さんを助けに行こうとしているのかと。
月明かりが寝息をたてる雛森を照らす。
それを確認し、藍染は戸を閉めると目的の場所へと歩をすすめた。
背後にもう一人を、連れて。