第84章 100.それは岩壁の花に似て
東大聖壁前、普段は誰も通ることのないその場所に、隠れるように身を縮こませ目を伏せて仮眠をとっていた臨は、何者かが近づいてくるその気配にゆっくりと目を開いた。
息を潜ませその人物の正体を感覚と暗闇になれたその目で確認しようとする。
「いるんだろう?」
その声に臨は目を細める。
そして自身にかけていた鬼道を解いた。
「………惣右介か。」
「先生にそう呼ばれるのは、随分と久しぶりですね。」
「キミに先生と呼ばれるのも、な。」
目覚ましの音が鳴り響き、雛森が慌てて起き上がる。
「す………すいません!!あたしいつの間にか寝ちゃったみたい………で……あれ?」
キョロキョロと辺りを見てみるが、そこに藍染の姿は見えない。
とりあえず目覚ましを消そうとそれを掴み見てみると、その時間に思わず悲鳴をあげた。
「藍染隊長早く起きたなら一言かけてくれてもいいのに………定例集会間に合うかなぁ…」
廊下を急いで走る雛森。
このままでは間に合わないと通行禁止の札を飛び越え更に進んでいく。
「よかった!これなら間に合いそう!」
右へ左へと曲がり角を曲がっていく。
「ここを曲がればあと……は」
曲がり角を曲がった瞬間、彼女はあるものを目にした。
いやあああああああああ!!!!!!
「何だ!?東大聖壁の方!!?」
先に集まっていた副隊長たちがざわめく
「雛森くんの……声だ…!」
吉良が走り出し、それに続いて副隊長たちが飛び出す。
そして彼らの目に映ったものは
壁に自身の斬魄刀で張り付けにされた、五番隊隊長の藍染惣右介だった。
「藍染隊長!!!!!」