第64章 76.Boarrider Comin'
どれくらい時間が経ったのだろう、傷を治していた臨は、目の前でもう一人傷を治している織姫の表情を見て何とも言えない顔をしていた。
(織姫は本当に一護くんのことが好きなんですねえ。)
そんな織姫の表情は、先程の一護の姿を思い出しているのだろう。
ほんのりと頬を赤く染めてる織姫を見て、臨は口元に笑みを作った。
直後、頬に冷たい何かがあたり臨から悲鳴があがる。
完全に無防備だった臨は腰の刀に手をかけ勢いよく振り向くと、一護は驚いた顔でお茶を差し出した。
「わ……悪い、そんなビックリすると思わなかった………」
「黒崎くん!」
織姫が嬉しそうな声をあげる。
「そろそろ中で休んだ方がいいんじゃねえか?」
すると織姫はまだ途中だしと視線を臨に合せた。
構えをといた彼女が、優しく微笑む。
「まだ時間がかかりますから、少し休んでください。」
私は平気ですからというと、今度は住人達が出てきて臨に休んでくださいと声をかけた。
「ここまでしてもらえりゃ十分だ!」
「倒れちまうよあんた!」
「あとはオレらでやっとくから!」
「ありがとな!兕丹坊さんのかわりに礼を言うぜねえちゃんたち!」
すると織姫は照れたように笑い、それじゃあお言葉に甘えてと頭を下げた。
「ほら、臨もいくぞ。」
「え、あ、私は別に……」
「いいから!」
一護が臨の腕を掴み、ずるずると室内に引きずられていく。
それを見て住人達は二人の女性達にそれぞれ思いを馳せた。