第60章 72.The Superchunk
その言葉に織姫は唇を噛みしめる。しかし茶渡が岩にコンコンと指を当てたことに、彼女はその真意を理解した。
井上が六花に手をかける。
すると兕丹坊はまだなんかゴチャゴチャやってるのかと二人を見た。
「おーーい、チャドーーー井上ーー」
壁の向こうから一護の声が聞こえる。
「黒崎くんっ!?大丈夫!?ケガしてない!?」
「おーーーピンピンしてらー」
その声に織姫はホッとすると、ちょっと待っててねと声をあげた。
「今から……」
「あーーーそのことだけどな井上、オマエとチャド、そこで何もしねーでじっとしててくんねーか?」
その言葉に織姫の言葉が失われる。
するとすぐに我に返り、彼女は何言ってるのと声をあげた。
「いーからいーから!心配しねーでまっててくれって!」
すると石田は怒ったように断ると叫んだ
「君もみただろう!あの兕丹坊の怪力!!この10日で君がどんな修行をしたか知らないが…….とても君一人の力で太刀打ちできる相手じゃない!」
「………いたのか石田。」
「さっきからいただろ!!」
その声にギャーギャーうるせーなと不機嫌そうな声を出す一護。それに茶渡はやれるのかと問うと、一護は気だるそうにこたえた。
「多分な。」
それにさらに石田の小言がヒートアップする。
「心配すんなっての、オマエ言ったろ、"この10日で君がどんな修行をしたか知らないが……"って………いいこと教えてやるよ。」
小言がやむ。
「当初の予定じゃ、俺は10日フルに使って死神の力を取り戻すことになってた。だけど実際それは5日で片付いた。それじゃ、あとの5日間、俺は一体何をしてたのか?」
その問いに石田が言葉を失いかける。
「な……何をしてたんだ………?」
辛うじてそう言うと、一護は不機嫌そうに答えた。
「戦ってたんだよ!5日間、昼も夜もブッ通しで!そこにいる臨と一対一でな!」
視線が一斉に臨へと向く。
「そ、そうか!戦闘の極意を教わっ」
「いーや!」
石田の言葉を遮る一護。
「臨は何も教えちゃくれなかったさ………けどスタミナと度胸だけは、嫌でもついたぜ!」