第55章 68-2.SISTER OF FAKE
まだ赤ん坊のルキアを、自宅のある戌吊に連れ帰り、子育ての経験のない私はとりあえずなんとかしようと手探りでルキアを育て始めた。
幸い名札に名前が書いてあり、この子の親がつけた名前はわかった。
「まさか臨が、子育てとはなあ」
当時の六番隊隊長、銀嶺隊長と副隊長の蒼純副隊長に挨拶し、急いで隊舎を後にする。
帰ったら重湯。ミルクなんてものなかった当時、おちちの出ない私にとって子育てはとても大変なものだった。
それから幾年か年月が経つ。
ルキアが二本足で拙くも立ち上がり、歩くようになった頃、私は護廷を休隊した。
五席という立場もあり、総隊長や当時の隊長の何人かには怒られたが京楽隊長や浮竹隊長、卯ノ花隊長の意見により休むことができた私は、たまに呼び出される講師の仕事と貴族たちの家庭教師の二つに絞り、ルキアと共に流魂街での生活をすることにした。
ルキアが言葉を拙くも喋るようになると、私とルキアは本当の姉妹のようになっていた。
情が湧いていた、と言ってもいい。
それまでに荒かった口調もルキアが真似しないようにと改めた。
可愛くて、優しくて、自慢の妹。
いつの間にかルキアは私の世界の全てとなっていた。