第54章 68.最後の夏休み
「「準優勝ォ!!??」」
みんなの声が辺りに響く。
「準優勝って……インターハイで2位ってことか?」
「そーよ!やってらんないっての!このケガさえなけりゃ優勝できたってのに!」
日本で二番目に強い女子高生 有沢竜貴
その事実に水色と浅野が驚愕する。
「しかしオマエの腕を折るなんて、一体その決勝の相手ってのはどんなバケモノ……」
「あー違う違う、試合じゃないんだコレ、準々の後ジュース買おうとして車にはねられたの。で、その後なんとか準決勝の相手は左腕一本でたおしたんだけどね、決勝の相手がゴリラみたいな女でさー」
夕暮れ
辺りが紅く染まり出す。
「なんか喋りながら歩いてるだけでけっこー時間たってんな」
一護は辺りを見て、時間の早さに驚く。
たつきが会場どこかと聞くと浅野は小野瀬川と答え、それにもうここじゃんとなった。
「ちげーよ、打ち上げは川向こうの市立グラウンド!」
「だからもっと向こうじゃないとキレイに見えないよ。」
浅野と水色がそう答えると、もうこの辺でいいじゃんとたつきが座り込んだ。
「あんま近いと出店とかで人多いし」
「それが若者の言う事かァ!!」
浅野がクワりと歯をむき出しにする。
「花火大会ってのはお祭りだぞ!花火に大騒ぎ、出店に大騒ぎ、浴衣の女子には鼻血!!これこそが花火大会の神髄だ!!大体何だオマエらは!?花火大会だっつッてんのに私服で来やがって!!臨さんもいないしやる気あんのかコラァ!!」
聞く耳持たずのたつき、しかし浅野はきゃんきゃんと喚く。
次の瞬間、背後から大声が聞こえ一護の肩はびくんと跳ねた。
「そのとーーーーーり!!!」
振り向くと、小さな点が4つ見える。
最初はカラカラカラと小さな音が徐々に徐々にと大きくなりガランガランと聞こえ始めると、その見覚えのある人物に一護は身構えた。