第54章 68.最後の夏休み
カランコロンと3人分の音が道に鳴り、道を歩く人たちがちらちらと視線を向ける。
それに誇らしげに夏梨と遊子が臨の手を握ると、彼女は嬉しそうに少し照れたように握り返した。
「おーーーーかえりィーーーー!!!!」
浅野啓吾が一護へと飛びつき、手厚く抱擁しようとするも顔面に蹴りを入れられる。
それと同時に、こんがりと日焼けした小島水色が手を振りながら近づいてくるのが見えて、一護は手を振り返した。
「ただいまー!一人で遊ぶのは淋しかったかい?ケイゴ!」
その言葉に浅野がキレる
八月一日
浦原商店での勉強会を終えた一護たちは、浦原たちが尸魂界への門を開く準備を整える間やることもないので普通に夏休みを送ることにした。
ほんの少しの間だけ
「今何時?」
一護がそう問うと、水色は3時10分と答える。
「今日のメインって夜の花火大会だろ?こんな昼間っから集合かける必要あったのかよ?」
昼間、とはいえないが空はまだまだ明るい。しかし浅野は目尻を涙に滲ませ、その言葉を否定した。
「俺が今日のこの日をどれだけ楽しみにしてたと思ってんだ!!それこそ昨日からワクワクで一睡もできなかったんだぞ!!ホントなら朝の午後11時ぐらいから集合したかったくらいだ!!」
そう叫ぶ浅野にそれは昨日の夜だとツッコミが入る。しかしそれを気にせずに浅野は言葉を続けた。
「オマエのいなかった頃を思い出すだけで今でも鳥肌が立つぜ……外出しても一人じゃつまんねーもんだから夏の盛りに日がな一日家にこもって、普通ならやりもしねーゲームを毎日毎日毎日毎日毎日……………10日でRPGを5本もクリアしてしまいました!」
「おまえゲームの才能あるんじゃねえか?」
直後、浅野の背中が邪魔と何者かに蹴飛ばされ、彼の顔面がコンクリートに激突する。
蹴ったその人物は左手を上にあげ、よっと挨拶するとその背後にいた二人の人物も手を挙げた。
「有沢さん!井上さん!」
水色が女子二人の名を呼ぶ。
「おう、めずらしいなチャドも一緒かよ………って、たつきオマエどうしたんだその腕!?」
包帯が巻かれた右腕に一護が驚愕する。
するとたつきはなにか嫌なことでも思い出したかのように眉を顰めた。
「ちょっと聞いて!これのせいでインハイ準優勝だったんだよ!」