第46章 58.blank
「そっか、元いた世界に帰ったんだ………それで、二人はそれを助けたいのね………」
その言葉に一護が曖昧に答える。
「………しっかし、ビックリしたなー!まさか井上が俺らのこと見えてたなんてなー………そんなら」
「それで、どうするの?」
織姫が言う。
「朽木さん、もともとそっちの世界の人なんでしょ?家族も友達も何も、みんなむこうにいるんでしょ!?それを助けて……それからどうするの?家族や友達と引き離してまたこっちに連れ帰るの!?それって……正しいことなのかな!?」
その言葉に一護が押し黙る。
臨が反論しようと口を開くと、織姫は今度はなんちゃってと明るく振る舞った。
「わーかってますって!こーやってゴチャゴチャ言ってみたって、臨ちゃんと黒崎くんの中じゃとっくに決まってるんでしょ!」
そう言うと、織姫はニコリと笑った。
「頑張ってね!あたしだって友達が死ぬのなんかイヤだもん!」
すると、一護は拳を握りしめ、口を開いた。
「ありがとう 井上!」
唐突に走って、階段を駆け上がる。
それを追いかけるように臨は階段を上ると、臨は織姫を見て何か言いたそうに口を開いた。
「ーーーーーーまた、ねっ」
その背中を、井上は見送る。
「………うん。……………………ケガ…しないでね……………」
空へと声が消える。
しかし、彼女は首を振ると、覚悟を決めて言葉を吐いた。
「ううん、させない。」
夕暮れ、織姫は電話をかける。
「………茶渡くん?………うん、そう。
うん。
あたし、決めたよ。」