第3章 2.Statrte
「魂が……」
呆然とする彼。
「とにかく!昨夜のあの時私の力は殆ど貴様に奪われてしまったのだ!私に残っているのは僅かな鬼道を使う力のみ……今もこうして義骸に頼らねばならんほどだ!」
「ギガイ?」
そう言って何だかわからない顔をしている彼を見て、私は口を開いた。
「緊急用に死神に支給されている仮の肉体のことです。極度に弱体化した死神や、現世で人間に接触しなくてはいけない場合、食事を摂る場合等必要な時にこれに入るんですよ。」
そう言って私は胸ポケットに入れているボールペンを取り出し、髑髏マークの書かれているノック部分を私のこめかみに押し当てた。
直後、自身の身体から魂が抜ける。
「これです。」
抜けた瞬間自分の身体を倒れないように支える。
「ぬ、抜けた。」
「弱体化した死神は特に虚に狙われやすいので人間のフリをするんです。私の力もある程度一護くんに盗られているので、あまりこれから出たくはないのですが……よいしょっと。」
再び肉体に戻ろうと足を入れると彼は再び口を開いた。
「で、その弱り切った死神サマが俺に何の用だ?」
「それだ!」
ルキアが反応する。
「貴様にはこれから私の力が戻るまでの間、死神としての仕事を手伝ってもらう!」