第3章 2.Statrte
昼休み、一護からメモを預かった私は体育館へと続く渡り廊下の近くに来ていた。
「こんな人気のない所に連れ込むなんて、私たち何かされるのかしら?」
すると彼も気色悪いと思ったのか、その喋り方をやめるよう言った。
「てめえの仕事はもう済んだんだろ!?それがなんでウチのクラスに潜り込んでる?尸魂界とかいう所に帰ったんじゃなかったのかよ!?」
「たわけ!尸魂界に戻れるのは死神だけだ!今の私にはあそこへ戻る術がない。」
「あん?どういう」
「私が死神の力を失ったからだ!」
「!?なっ、でも死神だけっつーと、芭蕉は、芭蕉に連れて行って貰えねーのか!?」
そう言われ、指をビシッと指されたので私は刺された指をボキリと曲げた。
「俺の指がぁ!!」
「人に指を指すのはちょっと。…私は常駐の死神ですから、勝手に尸魂界に帰る訳には行かないんです。」
それ以外の理由もあるのだが、それは割合。
しかしその説明にも納得しない様で、私はため息を吐いた。
「もし私たちが尸魂界に移動中、この街に虚が出現したら誰が戦うんですか。」
「なら許可をとって…」
「それに、ルキアは死神の力を一護くんに殆ど奪われてしまったので尸魂界には連れて行けないんですよ、移動には別のルートを通らなくてはいけませんし、そのルートは私一人じゃ開けられません。」
「そんな……で、でも、俺はもう死神じゃねえぞ!?キモノじゃねぇし…ドコ行ったんだその"死神の力"は?」
そう言って制服を引っ張る一護を見て、ルキアは溜息を吐いた。
「おまえの"中"だ、お前の"肉体"ではなく"魂"が死神化しているのだ。」